ゲームゲノム 関西

ゲームゲノム 関西

私たちの<ゲーム作りへのこだわり>を丁寧に取り上げていただけたこと、そして今まで受けてきた取材ではお伝えできていなかった内容もあったので、とても貴重な体験でした。本田翼さんは、“ホラーゲームは苦手なジャンルで…”とおっしゃっていたのですが、ゲームそのものへの愛のある視点で魅力を発見してくださいましたし、三浦大知さんは、「バイオハザード」で大切にしている【恐怖の緩急】という部分を、ご自身が突き詰めている“ダンスの表現手法”に重ねて分析されていたことに感銘を受けました。この番組は、実際のゲーム映像を使っての解説に加え、スタジオのクロストークで深掘りをしていくスタイルが新しいゲームの伝え方だと感じましたね。その上で、ゲームは実際に遊んで得られるプレイ体験―そしてそれはプレイヤーの皆さんひとりひとり異なるものであってほしいとも思います。その1つの解釈として「ゲームゲノム」ならではのアカデミックさのようなものが視聴者の皆さんに届いてくれれば幸せです。

平元NHKとして正式に、何か決まっていることをお伝えできる状況ではないのですが、僕たち制作班としては、シーズン2と言いますか、新たな『ゲームゲノム』を作りたいという気持ちは強く持っています。

平元クリエイターの皆さんは全員、「プレイヤーが作品を遊んだ上でその魅力を味わったり、感じたりしてもらう。その先の感想は千差万別でいい」と最初にお話されるんです。でも、『ゲームゲノム』ならではの作品の魅力の伝えかたがあるんじゃないかとお話して、収録に臨んでもらうと、皆さん本当に楽しそうな雰囲気で。

正直に言うと、当初想定していた放送のラインナップとは、順番が少しだけ入れ換わりました。ただ幸いにも、『ゲームゲノム』は毎回テーマが独立していますし、前後の関連性がない番組なので、視聴者の方にはあまり影響がないので大丈夫かなとは思っていましたけど、裏ではいろいろとやりくりをしていたんですよ。

ゲームを文化・作品として捉える番組コンセプトがとても興味深く、前回MCとして参加させていただきました。作品の魅力を深掘りするだけでなく、開発者の方の頭の中をのぞかせてもらえるような特別感、そして価値観がアップデートされていく感覚……まさに“ゲーム教養番組”として学びが多かったです。そして今回10月から新たにシリーズ放送ということで、引き続きMCをつとめさせていただくことになりました。私自身、プレイしてきた作品もあれば通ってこなかったタイトルもありますが、ゲームという文化の新たな側面とゲームの成り立ちを知ることができる番組として「ゲームゲノム」をお届けできればと思います。

――それは製作者冥利に尽きますね。明日放送される10回目で最終回を迎えるということで、今後の展開が気になりますが、平元さんは今後、『ゲームゲノム』をどのように進化させていきたいとお考えですか?

ゲームクリエイターは常に新しい面白さを追求しなければならないので、「~に似てる」と言われることを極度に恐れています。そういう意味で、表面的にゲノムを引き継ぐことは意識的に避けています。しかし、あまりにも独創的な物を作ってしまうとユーザーに受け入れてもらえません。その細い道を上手く歩けた作品たちがゲームゲノムで取り上げられているように思えます。『ロマンシング サガ2』がその一つに選ばれたことは光栄ですし、そういう作品として捉えてくれたプレイヤーの皆さんに感謝したいです。金子さん、三浦さんとお話する中で、これからも面白いゲームを作りたいと改めて思わせてもらいました。

今回、自分が10年前に作った「TOKYO JUNGLE」のことを取り上げていただいたわけですが、収録で三浦さん、髙橋さんとお話していく中で、当時のことを様々思い出し、感慨深かったですね。それが時を経て、番組で掲げたテーマで「Stray」という素晴らしい作品と繋がれたことも貴重な体験でした。さらに、今も新たなゲーム作りをしている中で、チームに加わってくれる若いクリエイターが偶然にも「TOKYO JUNGLE」に影響を受けたと話してくれることもあります。こんな風に、かつての挑戦が“ゲームゲノム”として次なる作品に繋がっていくーそうやってクリエイター同士で遺伝子を受け継ぎながら、プレイヤーの皆さんにもっと面白いゲームをこれからもお届けしたいと思っています。

大変光栄なオファーをうれしく思っております。ゲームというと、ついつい「ゲームばっかりして…!」とマイナスのイメージに捉われがちなのですが、ゲームにはとってもプラスの面があることや、ゲームをきっかけに素敵なことが起こる、そんなことをお伝えできたらと考えております。「ゲームゲノム」のオリジナル楽曲にはゲームで繋がる心、人間関係、未来、そんなことを考えながら作りました。私自身が持っているゲームに対する愛や思いやたくさんの思い出が音符になってくれているんじゃないかなと思っています。

あとは10本作ってみて、まだまだ足りないなということに改めて気づいたので。シーズン2を作ることができるなら、もっといろいろな作品の『ゲームゲノム』に迫りたいですね。それに本数が増えれば増えるほど、これまで制作した『ゲームゲノム』の明度だったり、彩度だったりがよりはっきりするような気がしていて。文化、作品と言ったからには、比較できるものが増えていくほど、語れることも多くなっていくと思うんです。

番組の取材後記を連載中!放送にあわせて全10回を予定していますので、ぜひチェックしてください!詳細は【ゲームゲノムnote】から!

たとえば、パイロット版の『デス・ストランディング』では“繋がり”をテーマに扱いましたが、別の作品で“繋がり”をテーマに番組を制作することもぜんぜんありえると考えていて。そうなったときに、『デス・ストランディング』の“繋がり”と別の作品の“繋がり”の違いはなんだろう、と。それぞれ得られる体験があって、同じ“繋がり”というテーマでも、作品論や文化論の違いを明確にできると思います。本数を重ねていけばいくほど、比較がよりおもしろくなっていくような番組像が『ゲームゲノム』で目指したいところではありますね。

平元『ゲームゲノム』という番組でやりたいことと、クリエイターの皆さんが作り上げられた作品の中でプレイヤーに感じてほしいこと、それはあえていままで言語化してこなかった部分も当然あると思っていて。クリエイターの皆さんには、「野暮なことはわかっているんですが、それでもお伝えしたいことが僕らにはあって、ごいっしょさせていただけないでしょうか」とまずはご相談して、それに対して「ぜひやりましょう」というように皆さん快く応じていただきました。

この番組は元々好きだったのでオファーをいただけたこと、そして大好きな「ライフ イズ ストレンジ」の回に参加できたことが何よりもうれしかったですね。でも、個人的な反省点としては「ゲームゲノム」に合わない大きすぎる声量でしゃべっちゃったことかな(笑)それだけ好きな作品を皆さんと熱く語りあえたことに興奮した証拠でもあるんですが、“巻き戻し”ができるなら…でも人生は“やり直せない”ですから(笑)特に今回は、人生とぴったり重ね合わせられるようなテーマでした。MCの三浦大知さん、ゲストの最上もがさんが、それぞれの価値観でプレイ体験の答え合わせをしているような時間で…ゲームって本当に性格が出るんだなって。一方、我々はもう自分の選択が子供や家族といった近しい存在にダイレクトに影響する世代でもあると思うんです。その重みというか、責任についてゲームを通して深く話せたことがとても印象深かったです。

平元生まれた時代や場所も異なるアニマルゲームを、『ゲームゲノム』という番組の目線で捉えたときに、それぞれ重なっている部分もあるし、当然重なってない部分もあって、比較してみるとおもしろいんじゃないかということに、企画段階で手応えを感じました。実際に、番組で実現したかった古今東西のゲーム論みたいなことを、ひとつ体現できた回になったんじゃないかなと感じています。

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