nhkプラス ゲームゲノム

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そして結さん。プレイヤーの鑑かがみとも呼べるほど、ゲームをプレイした際の感動を伝える言葉を持っています。恐らく『ゲームゲノム』の中でも最も難しいスタジオだったのでは?と感じるほど重いテーマではありましたが、ご自身の言葉でその魅力を語って下さいました。惜しむらく放送に乗せることができなかったのですが、結さんのゲーム愛が伝わるのが、冬場に寒さをしのぐため、本を燃やすか燃やさないかで悩む場面について語った言葉です。

テレビゲームを“文化”として捉え、名作の魅力を深堀りするNHK初の教養番組!古今東西の作品を取り上げ、MCの本田翼や作品愛あふれるゲストがその奥深さに迫る。何がおもしろいのか、なぜ語り継がれるのか…開発者が作品に込めた思いも紐解き、”文化としてのゲーム”に秘められた奥深い世界へといざなう!

巧舟さんにお会いでき、お話しできたことが大感激でした。シリーズが始まって20年ですから、それだけ楽しませていただいたわけで、その生みの親にお会いできるとは思ってもいなかったですね。お話を伺う中で、「だから面白いんだ」といういう気づきがたくさんありましたし、モノを作るにあたっての”根本”といいますか、大事なテーマはぶれずにいることの大切さも再認識しました。だからこそ巧さんからは、無限に作品が生まれ続けているんだなと思いましたね。ゲームはいわゆる娯楽というものだと思いますが、『逆転裁判』という作品だけでも20年の歴史があるわけで、人々の日常生活に入り込んでいる存在だと思うんですよね。好きとか嫌いとかいうことではなくって、日常の中で触れるものだからこそ「文化」で、ゲームはそこに入っている。逆に、これからゲームがどんな日常を生んでいってくれるのかなと、可能性と期待を持って自分自身も楽しんでいきたいです。

そして、スタジオ収録。海外ロケや厳しい編集期間を乗り越えて制作したVTRを受け、MCの三浦大知さん、インディーゲームに精通している結さん、ゲームジャーナリストの徳岡正肇さんは、それぞれの言葉で―しかし私が伝えたいと感じたメッセージを、想像を超える知識と経験をフル活用し、実感のこもった言葉で語って下さいました。

この番組に出演するのは、彼ら曰く「ゲーム界のレジェンド」と言われるクリエイターばかり、というイメージがあったらしいのです。(この時はわたしも正直、分からなかったのですが、、、)とにかく謙虚で、何とも味のある二人のキャラが印象的で、『こういう方たちなら「ゲームゲノム」の中でも独自の雰囲気を持つ面白い回になるはず』とまたまた、長年のカンを感じてしまったのです。

作品に込めた思いなどは、それぞれのプレイヤーの皆さんが自由に受け取ってくれたらいいのですが、ファンの方たちや番組を見てくださる方に情報を届けるには、どうしても言葉にしていかないといけないので、話しすぎていいものかと難しいところではありました。ただ、自分が手がけたゲームを、実際に遊んでくれた方と直接お話することがあまりなかったので、貴重な経験になりました。作品のプレイ体験が、遊んでくれた方々の日常生活を頑張るきっかけの一つになってくれれば本望です。

また、“繋がり”のゲーム史として、本作のテーマである“繋がり”について、半世紀の人類史でゲームはどのような役割を果たしてきたのかについて、ゲーム専門誌「ファミ通」グループ代表の林克彦氏へのインタビューでその変遷を解き明かしていく。

私たちの<ゲーム作りへのこだわり>を丁寧に取り上げていただけたこと、そして今まで受けてきた取材ではお伝えできていなかった内容もあったので、とても貴重な体験でした。本田翼さんは、“ホラーゲームは苦手なジャンルで…”とおっしゃっていたのですが、ゲームそのものへの愛のある視点で魅力を発見してくださいましたし、三浦大知さんは、「バイオハザード」で大切にしている【恐怖の緩急】という部分を、ご自身が突き詰めている“ダンスの表現手法”に重ねて分析されていたことに感銘を受けました。この番組は、実際のゲーム映像を使っての解説に加え、スタジオのクロストークで深掘りをしていくスタイルが新しいゲームの伝え方だと感じましたね。その上で、ゲームは実際に遊んで得られるプレイ体験―そしてそれはプレイヤーの皆さんひとりひとり異なるものであってほしいとも思います。その1つの解釈として「ゲームゲノム」ならではのアカデミックさのようなものが視聴者の皆さんに届いてくれれば幸せです。

『ゲームゲノム』の再放送予定と、見逃し動画配信サービスについてご紹介しました。

たとえば、「ヘッドライナー:ノヴィニュース」。こちらは政情不安定な架空の国・ノヴィスタンで絶大な影響力を誇るメディアの編集長となり、記事の採択を任されるゲームです。遺伝子組み換え食品について、肯定的な記事を書くか否定的な記事を書くか。移民や他国への政策に対して現政権を批判するか否か、などなど。賛否分かれる話題の中で自分が選んだ選択肢によって、国民の生活は大きく変わっていきます。メディアの編集長という普段なれない立場で物事を考えるゲームならではの体験を通して「メディアリテラシー」を考える本作。「This War of Mine」と同じように、大学の授業で使用された実績があるそうです。特にマスメディアに身を置く自分にとっては、報道が持つ力とそれを扱う者の姿勢や責任を鋭く突き付けられました。

『ICO』はPS Plusプレミアムの特典「クラシックスカタログ」でPS3版をストリーミングでプレイ可能。『ワンダと巨像』はPS4リメイク版がPS Plusエクストラの遊び放題「ゲームカタログ」に入っています。

プレイヤーである結さんは、所持品であるその本を読んだことはないですし、キャラクターが生き残るステータスのことだけを考えれば“本を燃やして暖を取る”のは決して間違っていない答えです。ですが、本作を通して結さんは、キャラクターに感情移入し、その本に勇気をもらう情景に思いを馳はせ、まさに「自分の感情を優先させた」結果、本を暖炉にくべない答えを出しました。良いゲームは、時に効率を忘れさせるほど自分の気持ちをわき上がらせるものなのだ、という言葉に強く共感しますし、その瞬間を味わえるときこそゲーム体験の醍醐味だいごみだと気づかせていただきました。

さて!ここでは、番組ではお伝え出来なかった制作の裏話などをお届けし、「そうだったのか!」「ならばもう一度見てみよう!」と、皆さんを(ぶっちゃけ)「NHKプラス」の見逃し配信へ誘導すべく、私のゲームゲノムライフを振り返ってまいります。もちろん既に番組をご覧いただいた方にも楽しんでもらえるお話ができればと思いますので、しばしお付き合いくださいませ。

ICOが2001年、ワンダが2005年、表に出ている最後の作品であるトゥリコー!が(プラットフォーム変更や作り直しで延期を重ねつつ)2016年と寡作なために、あまり表に出ない芸術家のイメージがある上田氏ですが、ゲームクリエイターにはつきもののメディアインタビューはもとより、開発者向けの講演やトークイベントなどでも積極的に発信しています。

番組名:NHK総合・全国「ゲームゲノム」

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